「見てー、水着!」 どこからどう見ても下着にしか見えないものを見せつけてきて、そのうえ体にも当ててくる。 「どっか行くんですか?」 「行かないけど可愛かったから買っちゃった」 ホッとしたのを悟られたくない。外で肌をさらすなんて、冗談じゃない。嫌だ。俺がいるならいいけどと思ってるのもばれたくない。楽しそうにダンボールから服を出すなまえさんは、俺がそう思っているのを知らないんだろう。急におもしろくなくなってきて、なまえさんの後ろに寄った。 「ちゃんと片付けてくださいよ」 「はーい。ほら見て、かわいいでしょ?」 「……さあ」 「見たい?」 「…………見せてくれるんですか?」 「見たいって言ったら見せてあげる」 白のひらひら、黒の紐、よくわからないがなまえさんが着たらきっと可愛く見える柄。全部ばれている。不快じゃない。好きだった。ずいぶん素直になったと自分でも思う。 「見たい、から、……遊びにいきましょう」 なまえさんは満足そうに笑って俺に抱きついた。 |