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「おかえり。お疲れ様です」
「ただいまー。寒い寒い」
「上着かけときますから早くこたつ入って」

 年越しの見回りに当たってしまったから、家でテレビを見ながらまったり……というようなことはできなかった。代わりに縁のないと思っていた街でのカウントダウンは覗けたけど、あまり面白いものでもなかった。日の出が見れたのはよかったか。そのまま朝までぽつぽつ現れる低級呪霊を祓ったりつかまえたりして、ようやく帰宅。朝にしては早い時間に帰ったのに、恵は起きていた。半ば無理やりにこたつに押し込まれる。

「お茶」
「うん、ありがとう」
「風呂一応ためてます」
「ありがとう。あとで入る」
「腹減りました? そば出します」
「今は大丈夫。恵もこたつ入りな」

 じっと見つめると、何か言いたげだったがおとなしく布団の中に入ってくれた。

「あけましておめでとう」
「……おめでとうございます」
「今年もよろしく」
「よろしくお願いします。来年は俺が当番になるかもしれませんね」
「そのときは、こたつの電源つけて待ってるね。お風呂も」

 すっかり冷えた指先を握りこまれると、内側からじんわりとあたたかくなる。年の瀬の憂鬱な仕事だったけど、頑張ってよかった。誰かがいる家って、良い。