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※嘔吐



 アルコールにはそれなりに強い。そこそこの量を飲めるし、記憶をなくすようなこともなかった。自分の限界量もわかっている。絶対とは言いきれないけどまあだいじょうぶ、だとわたしは思っているが、どうやら恵はそうじゃないらしかった。
 いつかの飲み会の時に疲れからか悪酔いしてしまって、帰宅と同時に吐いたことがある。それを見た恵の取り乱しようったら、とんでもなかった。記憶をなくすようなことはないゆえに、鮮明に思いだせる。吐いたわたしが口のまわりにゲロをつけたまま、ゲロを処理しないまま、恵をなぐさめるような事態になってしまったのだ。正直あれほど恥ずかしかったことはない。

「もう絶対飲まないでください。約束してください」

 頷く以外のことはできなかった。それ以降飲んでいない。酒に頼るタイプではない自分に感謝した。