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「結婚する?」

 するりと小さな手が俺の手の甲を撫でた。おそるおそる視線を上げると、当然なまえさんはこちらを見ていた。真意を探ろうとしても、いつものようにあまり分からなかった。でも口元は笑っていた。

「ていうか結婚してほしい」
「……」
「だめ?」
「駄目だから黙ってるわけじゃないです」
「うん」

 考える前に目の奥が熱くなって、情けない。言葉に詰まる俺を、なまえさんは急かさず待ってくれた。こういうところが好きだ。なまえさんの前で、俺はあまりスマートに立ち回ることができない。悔しく思うこともあるけど、なまえさんがそれを咎めないから、それでも良いかと受け入れることができた。

「俺もなまえさんとずっと一緒にいたいです」

 何度願ったことだろう。確か同じようなことを付き合うときにも言った。なまえさんは拙い言葉にたいそう喜んでくれた。今も。「やったぁ!」と俺を引き寄せ、がっちりと抱きしめられた。薄い肩が濡れてゆく。