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夢主の手持ちはマホミルとサザンドラ



「なまえさんのことが好きなんです」

 何を言われたのかわからなかった。ドクンドクンと自分の心臓だけがうるさい。自分の少し前にいたマホミルがこちらを振り返って、そこでようやくなまえは我にかえった。フワフワと急いで飛んでくるマホミルと目を合わせる。

「先日はその、すみません。でも嬉しかった」
「…………」
「チョコレートも美味しかったです。ポケモンたちも喜んでくれました」

 キャパオーバーしそうになる前になまえのモンスターボールからサザンドラが勝手に飛び出した。震える手でそっと体を撫でる。いつもの体温に少しだけ落ち着いた。

「ずっと一緒に居たいです。この一ヶ月、そればかりでした。ぼくとお付き合いしてもらえませんか?」

 後悔がないと言ったら嘘になる。マホミルと一緒に頑張ってチョコレートを作って、ギリギリまで渡すか悩んで、手紙は結局入れられなくて、あの後はサザンドラに抱きついてしばらく泣いた。マクワのことが好きだった。とてもじゃないがもう会えないと思った。でもそんなことはなかった。
 マホミルの白い体に落ちた涙を見て自分が泣いていたことを知る。なまえは蚊の鳴くような声で「わたしもマクワくんのこと好きです」と言った。返事はない。サザンドラが唸るまでふたりの間に会話はなかった。でも、嫌な気持ちにはならなかった。