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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 家に迎えにきただけで頬が汚れていた。払うから屈んでと頼むとロシナンテは嬉しそうにキスしようとしてきて、そうじゃないと躱す。

「なんだよ!」
「なんだよじゃない、ほっぺた汚れてるよ」
「あァ……そうか」

 今日は二人で花屋さんに行く。ホワイトデーのお返しを取りに。「おれだけだと絶対花がダメになる! 綺麗なやつだから綺麗なまま家に持ち帰ってほしい」なあんて言ってるのがかわいかったのは秘密だ。適当に着替えて、ファンデと眉毛だけ描いて家を出る。歩いて行ける距離のお店らしい。手を繋いで、ロシナンテが転ばないように見ておく。

「楽しみ。どんなお花?」
「綺麗なやつにしてくださいって頼んだだけでまだ見てないんだよなァ。でもきっとすごいやつだ」
「ふーん。でも、ロシナンテくん」
「なんでしょう」
「うちに花瓶はありませんよ」

 残酷なお知らせをするとロシナンテはすぐに転んだ。わたしも引っ張られるようにして尻餅をつく。

「花屋行くって聞いたの今日の朝だから用意できなかった」
「そ、そうか、そうだよなァ〜……」
「お花取りに行った後に花瓶見に行こうよ。どっちもわたしが持てば落としたり転んだりしないでしょ?」
「重いぞ!?」
「そんなに大きいの? お花」
「バレンタインのお返しとか感謝とか詰まってるからな! 多分デカい」
「へえ、早く見たい」
「よーし行こう!」
「行こうじゃなくて、早く立ち上がってよ。ロシナンテ待ちだよこっちは」

 大きな手をギュッと掴んで立ち上がらせようとしたけど、重くて少しも持ち上がらなかった。両手でも無理だ。大男を動かすのは無理だ。ドジが少しでもおさまってくれたらなと思う反面、顔についた土埃や折れ曲がった服を見るのは好きなのでおさまらないでとも思う。悪い悪いワハハと大きな声で言いながらそうっと起き上がるロシナンテのつむじをみた。