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これと同じ夢主


「えーとこれはねえ、わたしはやめなさいって言ったんだけどヒミコがどうしてもって……お金ないくせに自腹きってたから無下にもできなくて」言い訳を並べられた真っ赤なソースのかかったケーキは、当たり前に見た目が最悪だった。「荼毘くんお誕生日おめでとうございます。今日なまえちゃんのお家でケーキ作りのお手伝いしたんです、食べてね!」ここに来る前にかけられた言葉を思い出して目をつむる。「でもいちごのソースだから不味いことはないよ。血じゃない。食べ……る前に風呂入ったら? なんかくさいよ。誰か焼いたの? 誕生日なのに大変だねえ」「お前を焼くぞ」「言い直す、くさい体で部屋入らないで。先に風呂」ビシと風呂場を指差され、文句を言う気にもなれず風呂場に行った。相変わらずそこそこ綺麗で、数人分の見慣れた着替えの中から自分のを取り出してシャワーを浴びた。
 
 リビングに戻ると肉の匂いがした。「あ、自分で焼きたかった?」「別に」「炭になりそうな勢いで焼いてるから焼き加減は安心して。たくさんあるよ」「炭は食わねえ」「生も食べないじゃん」なまえは、肉は食べない。大量の肉は、俺のためなのだろう。大半が炭と化した、盛りに盛られた皿を俺の前に置いて、自分は赤でまみれたケーキに一直線。一本だけ立ったろうそくに、言われる前に火をつけるとなまえは驚いた顔で瞬きをした。「そっかあ、荼毘はライターいらないんだ」似合わない誕生日の歌、吹き消すのはなまえ。意外とうまく出来てた、ヒミコのいちごソースが効いてるね。フォローも当然忘れない。ここにいると、必ず時間がゆっくり過ぎていく。「あ、荼毘誕生日おめでとう」「……遅えよ、アホ」


200118 おめでとう!