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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 現金なやつだと自分でも思うけど、楽しい予定がある日は平日よりしっかり起きることができる。当然アラームは欠かせないけど。起きろとスマホから怒られて起き上がると、先生はまだ起きていなかった。すぐ止めたけど、それなりに音量は大きかったはずなのに。隣の膨らんだ布団をめくると、しっかり全身を隠している先生がいた。よく息ができるなあと思いながら、静かにベッドを抜ける。頭は出してあげた。
 眠いけど、楽しみな気持ちのほうが勝っている。今日は久しぶりに出かける! 今日のために、久しぶりに服も買った。ハンガーにかけているワンピースをチラッと見てから顔を洗いに洗面所へ向かった。

 一時間かけて準備をしてベッドに戻ると、先生のスマホがずっと鳴っていた。勝手に触るのは申し訳ないと思いつつも消させてもらおうとすると、セットした時間からもう何分も過ぎていた。真横で鳴っていたのに全然起きる様子がなくて、慌ててスヌーズを切る。

「先生……時間だよ」

 頬を、髭のはえた顎をつついても、先生はうんともすんとも言わずに呼吸を繰り返すだけだった。昨日、ずいぶんと疲れた顔でうちに来たのを思い出す。
 今日のことは随分前から決めていたけど、ひっくり返すことにした。ワンピースも化粧も、セットした髪の毛も全部意味がなくなる。残念な気持ちは勿論、ある。ないわけない。しぼんでいく気持ちがあるのにも気づいている。ここで無理に起こしても先生は何も言わないだろう、でも起こしたくない気持ちのほうが勝った。それだけだ。
 この前できたばかりの目の下の傷のところに唇を寄せる。結んだ髪をほどいて、床に座り込んだ。これから何しよう。休日の午前中に起きたことなんて最近はなかった。掃除機かけたいけど音がうるさい、洗濯機は……と考えながらスマホを触っていると、だんだん眠たくなってきた。朝一番に開けたカーテンから太陽がさす。ベッドに戻ると起こすかもしれない。予定がないと思うと途端に眠くなるのはどうしてだろうと思いながら、目を閉じた。