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Vネックから当然のように覗いている鎖骨のところに赤い痕がついてるのを見て、ぼやぼやしながら歯磨きをしていたのが一気に覚醒した。急いでうがいをして、ノロノロ朝飯を食べているなまえのところへ向かう。

「なまえ」
「なに」
「……これ」
「どれ」
「……痕、つけたろ」

テーブルを挟んで前に座りながら言うと、パンを一旦皿に置いてからなまえは頷く。

「先生昨日、すぐ寝たからつまんなくて」
「はあ?」
「寝るとき目の前に胸があったからなんとなく」

そうだ、疲れていたから俺の家に来ていたなまえに何かするでもなく、風呂入ってすぐ寝たんだ。なまえはいつも俺の布団で寝るし、逆もまた然り。今朝は俺の腕に腕と胸が絡んでいた。
痕がつくって相当に吸ったことになるのに、全く気づかなかった自分も自分だ。それになまえは今まで一度たりともそんなことしなかったのに。

「嫌だった?」
「……べつに…」
「首のぐるぐるで隠れるから、いいかなーって。いつもせんせいばっかり、わたしにつけるから」

そう言って、トレーナーの首元をぐっと引いて、胸の上の方を見せてくる。いつつけたのか分からないぼやけたもの、最近つけたものが、五つほど。

「悪い……」
「べつに怒ってないよ」
「ん」
「あれ、ていうかいつもシャツ?」
「まあ…。ボタンは開けてるけど」
「じゃあ隠れるね。良かった」
「……」

どうせなら見えるところにつけてくれたら良かった。とおもったが、正直いつものコスチュームでは見えるところなんてほぼない。あと、マイクとミッドナイトさんあたりに何か言われるに違いない。全く合理的ではない。
いつのまにかパンはなまえの胃の中に消えていて、「ごちそうさまでした」という声がして、はっと気がづく。

「先生、学校?」
「今日は、休日出勤」
「大変だあ。もう出るの?」
「着替えたら出る」
「なんか夜ご飯、作っとくよ。なにがいい?」
「…うーん、何でも…」
「今、皿洗いがめんどくさいと思ったでしょ」
「…………」
「お鍋とかは仕方ないとして、お皿はラップしたりとか紙皿にしたりとか、あるから、ねっ。作ったときくらいはゼリーやめて」

顔に出てたのか、心の内はなまえにばれていた。皿洗いは面倒だが、それより、なまえが作ってくれた飯は彼女と食べたいというのが俺の気持ちだった。多分今夜、なまえはここにいない気がする。
皿を流しに持っていったなまえは、急いで洗面所に向かっていった。

「先生着替えるの待って〜」
「なんだ」
「歯磨きするから!」
「勝手にしなさい」
「ちがう! 歯磨きしたらチューしたい!」

先ほどまで自分がいた洗面所からかわいい声が飛んでくる。水を流す音と、歯を磨く音がする。なまえが別の部屋に行っただけでこの部屋はしんとなる。
顔から火が出そうになっている。キスなんか何回もした、セックスだってなまえが泣くほどやった。彼女にはじめてキスマークを付けられ、キスをしたいと声に出される。こんなことで本気で照れている自分を、学生のようだと思った。





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