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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 アジトに入るなり頬をつねられてなまえは飛び上がった。

「なに!?」
「今日は何の日だ?」
「何の日って、ええと2月14日……ちょっと……本当こわいから離して、痛い」

 つねってくる手を掴んで離そうとしてもぴくりとも動かなくて、すこしずつ焦ってきた。誰かに助けを求めようにもアジトには死柄木以外に人の姿はなく、どんどん迫られてなまえは壁際で覆いかぶさるようにされてしまった。

「弔、あの……なに?」
「チョコレート」

 ないのか? ぼそりと付け加えたそれになまえはようやく今日がバレンタインデーだということに気がついた。だから当然死柄木に贈るようなチョコレートなんて持っていない。やばい、となまえは冷や汗をかいた。

「す、すっかり忘れてた……いまから買ってきてもいい?」
「当日に余ってるのか?」
「さあ……」
「板チョコは嫌だからな」

 つねる指からは力がぬけて、次はヒリヒリと痛む頬をその指で揉まれる。これ以上機嫌を損ねるとまずいことになるのは分かっていたので、なまえはやめろと言えない。どこに行けばバレンタインのそれらしいチョコレートを買えるのだろう。きちんと買ってきたとしてもそれを気に入ってもらえるかは別だ。なまえはとても、気が重くなった。