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- ナノ -

「お望みの物、買ってきたわよ」
「オールサンデー! 待ってた! ありがと……あっお金」
「次で良いわ、すぐにボスが来るのよ。もう出なきゃ」
「あ、え、そうなの? はやいね、めずらしい……」

 ひらりと綺麗な手を振ってオールサンデーは屋敷を出て行った。高級なお店の袋とわたしだけがポツンと玄関に残される。受け取ったピンクの袋を覗くとわたしのセンスとはかけ離れた、とても高級そうな箱があった。いくらするのか見当もつかない。バレンタインの時期だからピンクの袋なのかな? それにしてもオールサンデーらしくないなと思いながら見ていると、扉が開いて家主が帰ってきた。

「帰った」
「あ、おかえり!」
「……よくおれが戻るのが分かったな。どうした? いつもならだらしなく昼寝してる時間のはずだが?」
「エッ! な、なんとなく……」
「その袋は」

 もうなにもかもがばれていると分かった。なんでだろう? 帰ってるオールサンデーに会ったのかな? でも買ってきてもらったこれが、クロコダイルに渡す用のチョコレートだと彼女は知っていたはずで、このことは絶対秘密にしてとお願いしたからそれを破るような人ではないはずで……。

「バレンタインだから……オールサンデーに頼んで、買ってきてもらって、今受け取った」
「おれもそこに居た」
「え!?」
「おれが選んだし金も出した。テメェが食え」
「……わたしのバレンタインは……??」
「来月に持ち越しだな、お嬢さん。期待してるぜ」

 なにがどうなったのか分からないままただいまのキスをされ、抱きかかえられて連れられたテーブルでもらったチョコレートを食べることになった。なんとコーヒーも淹れてもらった。

「美味いか?」
「うん……」

 来月なにを期待されているんだろうと泣きそうになった。