年越し一係

※狡朱恋人設定



「もう昼か…」

「そうですね、ご飯食べにいきますか?」

「その必要はないぞ」

「宜野座さん?」

「そういえば縢が何か持ってくるとか言ってたな」


今日は12月31日。
大晦日だが公安局は今日もお仕事。
元日は宜野座が出るので朱はかろうじて正月休みをもらうことができた。

何だろうと朱が考えていると一係のドアがひらいた。

「みっなさーん、お昼ですよ〜!」

両手にお盆を持った縢が上機嫌ではいってきた。
お盆の上には人数分の年越し蕎麦。

「わぁ…そういうことだったんですね!」

「ああ」

「じゃあ配りますよ〜」

「仕事場で食事を配るな縢」

「今日ばかりはいいじゃないっすかー」

「…まぁいいだろう」

「さっすがギノさん話が分かる!」

「早く配ったらどうなの」

「あのっ、私手伝います」

「朱ちゃんありがと!」

縢が蕎麦を配り始める。
湯気が出ていて温かい。とても美味しそうだ。

「征陸さん、六合塚さん、縢くん、ギノさん…あ、あれ?」

「しまった数間違えた」

「じゃあ私なしでいいですよ?」

「いや、俺はいいからあんたが食え」

「でも…」

「いいから」

「あっ、…」

そういって蕎麦を渡す。
蕎麦と狡噛を交互に見るとクス、と笑った。

「気にするな」

「ごめんねこーちゃん…ギノさんの分忘れてたんだ」

「なんで俺なんだ」

「ギノさんもごめんね〜」

「すまんな、コウ」

「俺は他で食べてくるからいい」

そういって狡噛は一係をあとにしようとする。

年越し蕎麦。せっかくだしできれば彼と食べたかった。
そう思って、朱は狡噛を引き留めた。

「狡噛さんっ」

「なんだ?」

「一緒に、食べませんか?…半分こになっちゃいますけど」

「あんたが食え。せっかくの蕎麦だ」

「…狡噛さんと、食べたいです」

「…っ!?」

「だめですか…?」

「だめじゃないけど腹空かないか?」

「サンドイッチ作ってきたんで、それも一緒に」

ピンクのケースにいれたサンドイッチを見せる。
作ってきて良かった、朱はちょっぴりうれしくなった。

「じゃあ半分もらうとするか」

「ひゅーひゅーっ!いちゃついちゃってこのこのっ!」

「縢からかうな」

「若いねぇ…」

「とっつぁんまで」

「仕事にプライベートを持ち込むな常守監視官」

「すいません…」

「なに〜、ギノさんもしかして嫉妬?」

「違う。そんなものではない」

「狡噛さんの分、ここにおいておきますね」

「悪いな、ありがとう」

「ねぇ朱ちゃん、俺の分は?」

「縢うるさい」

「へぇーい」

お喋りな縢が席に着くと皆で蕎麦を食べ始める。
ずるずると蕎麦をすする音が、年末なんだなぁと思わせる。

「うまいじゃないか縢」

「そーっすか?ありがとうございますとっつぁん!」

「美味しいですね、狡噛さん」

「あ?あぁ、そうだな」

「?狡噛さんほっぺ赤くないですか?」

すぐとなりで食べているので自然と顔が近くなる。

なにか良い言い訳はないものか。狡噛は考える。

「…蕎麦があついからな」

「じゃあ冷ましますね!」

そう言うと朱はふうふうと息を吹きかけてはいどうぞなんて蕎麦を差し出す。

あーん、なんて言わないよな、まさか。

朱の背後に見える縢がニヤニヤと笑いパクパク口を動かす。
"あーん"、だと?馬鹿野郎。

「狡噛さん食べませんか?」

「いや、…」

「常守監視官」

「あっ、宜野座さんすいません!」

「いや、よこせ常守」

「わっ…」

ぱくり。狡噛が朱の手を掴んで蕎麦を食べる。

食べ終わると微笑んでうまい、と一言呟いた。

今度は朱の方の頬が赤くなってしまった。

「グッジョブ、ギノさん!」

「なんで俺が」

初めてついた職。危険ではあったけど今年は平和に過ごせきりそうだ。
来年も再来年も、みんなと…狡噛さんと年越し蕎麦が食べれれば。

朱がそう思っていた矢先だった。

「…チッ、今年もか」

突然の警報音とアナウンス―出動だ。

「年末だからっていう輩がいるんだよね〜」

「まぁしょうがないわね」

「いくとするか」

「全員いぞげ」

慌ただしく蕎麦を残しでていく一係。

「サンドイッチはお預けだな」

「あとで、ですね!」

一係が落ち着けるのは、もう少し先なようです。


12*12*31
間に合った、あと8分で2013年!今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いします!

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