天才のナイフ(2/4)

 


「かくれんぼ 好きって 言ったじゃん
 オレ 王子 だからさ

 おまえら パチもんとは デキが違うんだよね」



ベルから放たれたナイフが方向転換しながら、獄寺隼人の左脇腹に ザクッ と突き刺さる。



「いってー!!
 なんでだっ」



彼は叫びながら倒れ込む。



((なんでだっじゃないわよ、ふふふっ))



「うしし もう 大当り?
 嵐の守護者が これじゃあ お前のボスも 知れてんな」



ベルの言葉が思ったよりキツかったのか、獄寺隼人はその場から動かない。

暫くその場に倒れ込んだ間々だったが、突如壁に突き刺さったナイフを振り返り、漸くよろよろと力無く立ち上がった。

が、廊下にはナイフをいっぱい用意したベルの姿。



((!))



「怒涛の攻めの シメは
 針千本の サボテンに してやるよ


 バイバイ」



   ビッ



ベルがナイフを投げたのと同時に少年達の悲痛な叫びが聞こえて来る。



「ああ!!」



   ビュッ



「いかん!」



   ビュオッ



『ふふっ』



   ドスドスッ  ドスドス



「!!!」



   ドスドスドスドスドス



「うししし♪
 サボテン一丁あがり」



   バリン



ベルの大量のナイフが突き刺さったモノが窓ガラスを割って倒れ出て来る



「!!」

『あれは…

 人体模型!!!』



窓を割って出て来たのは、獄寺隼人ではなく人体模型。その胸にはしっかりとベルのナイフが突き刺さっている。



「これが てめーの技の 正体だ」



獄寺隼人はそれを ぐいっ と引っ張りながら持ち上げた。よく見ると、首に絡められた細いワイヤーを掴んでいるのが解る。


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