彼はロリコン?
「ブンちゃーん!お菓子頂だーい!!」
「まった来たのかよぃ…ほらよ」
「やったー!!」
また五月蝿いのが来た
1年生の癖によく3年の階まで来るのう…他の奴等の視線は気にならんのか
ああ、超が付く程の天然で鈍感で阿呆でお気楽なこいつなら気にならないのか
「にお先輩、そんな顔してたら皺、残っちゃいますよ?」
ヒョィ、とブン太に貰ったらしいバウムクーヘンをモフモフ頬張りながら俺を覗き込んでくるチビ
あー、うっとうしい
「…五月蝿いぜよ、チビ」
「あ゛!!気にしてるのに!!」
七海千夏はブン太の幼馴染(らしい)
まあ、ブン太の面倒見の良さは知っちょるが、随分と懐かれてしまったもんじゃのう
「ブンちゃんブンちゃん、にお先輩がー!!」
「あーはいはい、おい仁王ー…あんまこいつをからかうなよな」
ブン太に抱きついているのは良いが七海…、バウムクーヘンがブン太のブレザーで潰れてるぜよ
っちゅーかそろそろ離れろ
お前さんそろそろ嫉妬の炎に焼かれ…あれ?
「ん?仁王どうした?」
「…いや、何でも」
どうかしてるのはお前のブレザーじゃき
…じゃなくて、
クラスの女子の視線が生暖かい
ちょっと前までは”嫉妬の炎に焼かれる”なんて比喩が比喩にならない位恐ろしい視線がこいつ等を突き刺していたのに…
生暖かいってなんじゃ
暖かい、じゃなくて生暖かい、って
「「あ゛ーーっっ!!!??」」
「っ、…うるさいっちゅーに」
急に叫びだした2人に巡らせていた思考が強制終了させられた
ああもう、五月蝿い五月蝿い
「私のバウムクーヘンがぁああ!!」
「俺の制服がぁああ!!」
…ここでざまあ、とか言うのはやめておこう、更に五月蝿くなりそうじゃ
「っう…にお先輩これあげます」
「いらん」
グスグスと泣きそうになりながら、ボロボロでブン太の制服の繊維が付きまくったソレを差し出してくる七海の頭を叩いた
「いたっ!!」
「千夏、それはゴミ箱にポイしてこい、な?」
「やだーっ!勿体無いよ!ブンちゃん食べて!」
「いらねーよんなボロボロ」
「ううっ…ブンちゃんの所に勿体無いお化けが出るんだからねーっ!!」
「は!?ちょ、千夏!!」
突然意味わかんない事を叫びながら七海は去っていった
ボロボロで繊維の付きまくったバウムクーヘンを口に押し込みながら
「…嵐が去った」
「……はぁーっ」
グダァッ、と机につっぷして溜息をつくブン太
ブレザー、早く拭いた方が良かよ
「なあ仁王」
「ん?」
「千夏ってお前の事が好きなのかな?」
「…………あ゛?」
…あ、しまった
俺今”…は?”じゃなくて”…あ゛?”って言った
めちゃくちゃ嫌な顔をして
「…いや、怖ぇよ」
「…ありえんじゃろ」
嫌じゃ、あんなガキに好かれるなんて
面倒臭いにも程がある
それに、
「あいつ、ブン太の事が大好きじゃろうが」
「まじで!?」
「…!?」
…ああ、クラスの奴等の生暖かい視線の意味がわかった
おい、今そこでコソッと言ったの聞こえたぜよ
”やっぱり丸井君って―――”
「…お前、あいつの事妹位に思ってたんじゃ…」
「は?…確かにすっげぇ可愛いけど…」
…いや、答えになっとらんて
「あの小っさくてコロコロ変わる表情、ガキみたいなテンション、ドストライクだろぃ」
「………そか」
もうなんか居た堪れなくなりました、まる
”やっぱり丸井君ってロリコンなのかな?”
…いや、まああいつも中1で、2個下なんだけどな
…うん、フォローは出来なかった
一応応援はするぜよブン太、七海
(もう本当に勿体無いお化けに襲われれば良か) (…仁王、お前ファンシー思考だな) (………死ねロリコン) (はあ!!??)
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…どうしてこうなったかはよく分からない←
苦情は受け付けない。
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[mokuji]
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