雲雀視点
こんなに面白いのは赤ン坊以来だと思った
遅刻者を取り締まるために校門で立っている時だった
不意に、今日は天気が良いななんて思って
なんとなく、空を見上げて
気まぐれで、グルリと一周なんてしてみた
彼女を見つけたのは偶然だった
彼女の気配なんて、気付いた後でも見つける事が出来ない程だったのだから
屋上のフェンスに立ち、こちらを見つめる女
一目でわかった、あいつは強い
その考えは当たっていて、実際彼女は本当に強かった
悔しいし、ムカツクけど、多分この僕よりも強い
…まあ絶対負けないけど
「いーや、今日はお終い」
「…!」
両手のトンファーを止められて、次はどう攻撃してやろうかと考えている時に放たれた言葉
どうやら彼女はこの愉しい闘いを止めて立ち去ろうとしているらしい
ふざけるな、…そう言おうとして時だった
シュルルッ
そう、音をたてて巻きついてきたのは蔦
突然地面から生えてきた蔦に足を、体を、腕を固定され動くに動けなくなってしまった
「…ふふ、チャオ」
そう、笑顔で立ち去る彼女を黙って見送る事しか出来なくて、僕は思い切り舌打ちをした
…次に会った時はグチャグチャにしてあげるから、覚悟してなよ
…あぁ、面白かった
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