木ノ葉丸×多由也
「俺の里には自分ルールっていうのをやってる忍がいる」
ああ、あのおかっぱコンビのことか。と、とある二人が頭をよぎる。
「自分を過酷な状況に追い込むことで運を呼び込むんだ、コレ」
いつの間にかうちを追い抜かしやがった高身長が、シュビッとさらに上を指差した。
「例えば!」
指差す先にあるのは今にも取れそうな木ノ葉…あ、取れたな。
「俺がここから動かなくてもあの落ち葉が地面に落ちなかったら、多由也姉ちゃんは俺に惚れるんだコレ!」
「は?」
何を言ってんだと見てみれば、特徴的な十字の印を結ぶ木ノ葉丸。おいふざけんな。
「影分身はナシだ!」
「え!?」
驚いた顔でこちらを見る木ノ葉丸。ひらひらと舞い落ちる木ノ葉。慌てて風遁を使おうとする馬鹿に「術を使うのはズルだ」と言い放つ。
ああああと喚きながらフーフーと届くわけもない位置にある葉に風を送ろうとする木ノ葉丸に思わず吹き出した。
葉が、落ちる。
瞬間、黒い何かが木ノ葉をかっさらった。
…猫だ。
「あ…」
よくよく見ると葉の裏に小さな虫がくっついている。猫は葉ごと虫を食らうと、にゃあと一声鳴いて、唖然とする人間二人をそのままに去っていった。
「…落ちなかった、な」
ウチがそう呟くと、実感が湧いたように赤い顔で笑みを浮かべた。
「まさか不幸の象徴の黒猫に、初恋を助けられるとは思わなかったぞ、コレ!」