06 選抜

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「長次くん、小平太くんは落ち着いた?」
「はい。・・・すいませんでした。」

長次くんが謝る必要はないと頭を撫で、ちびちびと飲んでいた緑茶を飲み干す
時計は9時を回った。スーパーがやるのは10時からで、のんびりタイムもそろそろ終了だ

パソコンで熱心に何か調べている仙蔵くんと文次郎くん(だから、本当に君らは3歳かと)
そして風邪薬や絆創膏、貼る眼帯や留め具のいらない包帯を観察してる伊作くん(よく飽きないよね)
分解しそうな勢いで家電製品の仕組みを調べている留三郎くん(ていうか携帯分解されかけた)
復活したというがボケッとしている小平太くんに、源氏物語がつかない(タブレットの電源落ちてます)と不思議そうにしている長次くんをぐるりと見回して、質問

「この中で一番統率力があるのは誰?」

一斉に指さされたのは仙蔵くん。その仙蔵くんは文次郎くんを指さしてる

「・・・一番常識的・・・要は普通な人は誰?」

これは本人も頷いてるけど、長次くん

「よし。じゃあ最後・・・騒がしいのは誰?」
「小平太だろ。」
「いや、貴様も大概煩いぞ文次郎。まぁ一等は小平太だがな。」
「・・・小平太。」
「小平太、かな・・・」
「小平太だろ。」
「多分わたしだ。」

指さすでなく思わず名前をだすほど(いや、わかってたけど)なのに、小平太くんは首を傾げる

「よし。小平太くんと長次くん。買い物行くよ。」

ギョッとしたのは呼んだ二人を含めた六人
抗議の声をあげたのは仙蔵くん

「なぜその二人なんだ。」
「騒がしい子を家に残したくないので、小平太くん。小平太くんのストッパー役」
「ストッパーってなんだ?」
「制御役だよ小平太くん。で、しっかり言いつけを守れそうな長次くんを連れてく。統率力があるという仙蔵くんは、家に残る三人が騒がないように見ていて。」
「私たちも連れていけばいいだろ。」
「託児所じゃないんだから・・・女一人に子供六人は変。さ、小平太くん長次くん、着替えて。」

譲らないよ。と強制的に話を切り上げれば、あからさまな不満を目でぶつけてくるから
整った顔してるし目は切れ長だしで、眼力半端なくて直視できない

「・・・・・・週末、大型のモール行くから、その時は皆一緒だから。」
「本当だろうな。」
「本当だよ。」

ならいい。と頷いた仙蔵くんは、本当に3歳に見えません
なんだろう・・・体は子供、頭脳は大人。なコ○ンくんみたいな感じ

「黒づくめは存在したか・・・」
「用意できたぞ!!」
「靴は?」

ほら!と両手をあげたまま、小平太くんは首を傾げる
あんだけ詰まっててまさか靴はないのかと、カバンを漁り、カバンの色と同系色の靴をみつけ安堵した

「これ履かないと外出れないから。」
「これではダメなのか?」

これ。と片足があげられるが、それは靴下であって外履ではない。残念ながら
それを説明すれば、首を傾げながら頷かれた

「11時には帰るから、麦茶は冷蔵庫から出しておくから勝手にどうぞ。トイレも勝手にどうぞ。」

固定電話はないし、インターホンはきってある
まぁ大丈夫だろうと、二人を連れて家を出た

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