41 愚痴・・・か

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「お、隣にきたか。」
「空きのほうが勝手がよかったんですが。」
「とうとう***も先輩か。」

頑張れよ。と肩をたたかれ、愛想笑いを返した



「来月さ、テーマパーク行こうか?それとも京都がいい?」
「てーまぱあく?」

首を傾げた留三郎くんに、パソコンで出したネズミ王国のホームページを見せた
一方、京都の観光案内ページをタブレットで出して受け取らせる

「6人でみて、30分以内に決めて。」

はい。と素直に受け取った留三郎は、きっちり30分後に結論を出したようだ

「京都で、お願いします。」
「行くとこはこっちで大体決めるよ?」
「はい。」

カチッと旅館の予約をして、カレンダーに赤丸をつけた

新人をみるかわりといったらなんだけど、第1期お盆休みは確保した
第2期は、もしかしたら出張かもしれない

「三日も、」
「二泊三日。諸事情により盆休みっていうのかな、一週間休みが2回あるの。その1回目に行くよ。」

世間一般じゃない休みだから空きあったしねーと笑えば、お金大丈夫ですか?と意外な質問をいただいた
子供が気にするようなことじゃない

「まぁね。・・・一応、それなりに稼いでるから。」

気にする必要はない。といえば、何か言いたげな顔と少し見つめ合い
ね?とおすように笑って、顔を逸らした

気にしたところで、子供らが何かできるわけはないしね。

「子供は子供らしく、気ままにしてればいいんだから。」
「それだと、寂しいです。」
「寂しい?」
「確かに俺たちは大したことはできませんが、愚痴きいたり、肩叩きしたり、そのくらいならできます。」
「愚痴ねぇ・・・」

子供に、愚痴・・・情操教育によろしくなさそうだ
ただでさえ、私のそばで成長してて不安なのに

特に何か返すわけでもなく、留三郎くんの頭を撫でて
洗濯物をしまいにベランダに出た


「疲れは、確かに溜まってるんだよね。」

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