38 出張七日目

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***が出張へ出て早七日。
出張へ出てから、***からは一度の連絡もない
当たり前だ。六時半にはビジネスホテルをでて、帰りは早くてギリギリ日付変更前なのだから
せめて毎日の飲み会をなしにしてくれたら。とは思うが、現地での人付き合いも大切だ



連絡がないのだから当たり前だが、そんな事はつゆ知らず
なんとなくソワソワと違和感が出始めた五日目、そしてとうとう七日目の朝

長次は隣に寝ていたはずの小平太がいないことに気づき慌てたが
すぐに、押し入れがあいてるのをみつけ、中を覗いた

「小平太、」
「・・・なんだ?長次、」

もぞもぞと***が使っている布団から顔を出した小平太に、長次が安堵と呆れのため息をつく

「なぜ、ここに。」
「・・・***はいつ帰ってくるんだ?」

帰ってこないなんて、ないよな?

不安な声に、起きていたのか
伊作がえ、と声を落として押し入れに近づく

「***さん、帰ってこないの・・・?」

それに慌てたのは長次だ
鬱々し始めた雰囲気を払拭しようとする言葉は浮かぶも、うまく声にならない

「だって、***は・・・子供嫌いだって、」
「で、でも、いていいって、」
「いていいとは言った・・・けど、いなくならないとは、言ってない。」

そうだろ?と呟いた小平太に、伊作が黙る

「伊作、寝るぞ。」

伏いてしまった伊作を留三郎が引っ張り布団に戻す
長次もそれに習い、小平太を引きずり出して布団に戻した



夕方、仙蔵は新着メールを開いて、思わず強制シャットダウンをしてしまう
それをみていた文次郎は、一体どうしたのかと仙蔵に近づき、パソコンをつけた

「何がきてたんだ?」
「・・・出張が、延びたと。」

あぁ。と文次郎は頭を抱える
今朝の会話を知っているだけに、それ以外の反応を取りづらい

「つうか、今日日曜日だろ?休みじゃねぇのか?」
「だからなんだ。」
「メール、すぐ返ってくるんじゃねぇか?」

そうか。と頷いた仙蔵が、カタカタとゆっくりではあるが
いつもお疲れ様です。と送る

五分しないうちに、返信がきた

『そちらは問題なく過ごせていますか?』

「・・・どうする。」
「帰ってくるか聞くか?」
「・・・・・・聞けると思うのか。」
「おもわねぇけど。」

結局、問題ありません。とメールは終わった

「・・・はぁ。」

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