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***が出張へ出て早七日。
出張へ出てから、***からは一度の連絡もない
当たり前だ。六時半にはビジネスホテルをでて、帰りは早くてギリギリ日付変更前なのだから
せめて毎日の飲み会をなしにしてくれたら。とは思うが、現地での人付き合いも大切だ
連絡がないのだから当たり前だが、そんな事はつゆ知らず
なんとなくソワソワと違和感が出始めた五日目、そしてとうとう七日目の朝
長次は隣に寝ていたはずの小平太がいないことに気づき慌てたが
すぐに、押し入れがあいてるのをみつけ、中を覗いた
「小平太、」
「・・・なんだ?長次、」
もぞもぞと***が使っている布団から顔を出した小平太に、長次が安堵と呆れのため息をつく
「なぜ、ここに。」
「・・・***はいつ帰ってくるんだ?」
帰ってこないなんて、ないよな?
不安な声に、起きていたのか
伊作がえ、と声を落として押し入れに近づく
「***さん、帰ってこないの・・・?」
それに慌てたのは長次だ
鬱々し始めた雰囲気を払拭しようとする言葉は浮かぶも、うまく声にならない
「だって、***は・・・子供嫌いだって、」
「で、でも、いていいって、」
「いていいとは言った・・・けど、いなくならないとは、言ってない。」
そうだろ?と呟いた小平太に、伊作が黙る
「伊作、寝るぞ。」
伏いてしまった伊作を留三郎が引っ張り布団に戻す
長次もそれに習い、小平太を引きずり出して布団に戻した
夕方、仙蔵は新着メールを開いて、思わず強制シャットダウンをしてしまう
それをみていた文次郎は、一体どうしたのかと仙蔵に近づき、パソコンをつけた
「何がきてたんだ?」
「・・・出張が、延びたと。」
あぁ。と文次郎は頭を抱える
今朝の会話を知っているだけに、それ以外の反応を取りづらい
「つうか、今日日曜日だろ?休みじゃねぇのか?」
「だからなんだ。」
「メール、すぐ返ってくるんじゃねぇか?」
そうか。と頷いた仙蔵が、カタカタとゆっくりではあるが
いつもお疲れ様です。と送る
五分しないうちに、返信がきた
『そちらは問題なく過ごせていますか?』
「・・・どうする。」
「帰ってくるか聞くか?」
「・・・・・・聞けると思うのか。」
「おもわねぇけど。」
結局、問題ありません。とメールは終わった
「・・・はぁ。」