36 デレ解除推進

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二回目の成長でも少し驚きはしたけれど
それよりも今はやるべきことがある

「出張とは、なんだ?」
「説明が面倒なので自分で調べて。とにかく、10日・・・長くて二週間いないから。ってだけ。」

でだ。と袋から取り出したIH卓上クッキングヒーター一口に、仙蔵くんが首を傾げた

「料理を、覚えてもらいます。」
「・・・はい。」

神妙な顔つきになった仙蔵くんと、その横で始終無言で頷く長次くん

長次くんは、お菓子作れるらしい。ボーロっていわれたけど、どうも互いの描く物体が違うらしく
卵ボーロ(幼児用)とカステラ生地みたいなボーロ買ってきたら、どっちも違うって
それで、絵に描いてもらったら、ケーキとホットケーキの中間みたいな。で、ただいまスポンジケーキを焼き中
難しいけど簡単だし(矛盾)、あとはホイップと冷凍ベリーを解凍中です

「火はでないけど、専用の鍋をおくと使えます。」
「ほう。」
「お手入れの仕方は、簡単なのだけまたファイルに追加しておいたから。あと、10日分の簡易レシピ。調味料は腐らないだろうから、混ぜてタッパーにいれておく。」

肉と魚は冷凍庫で、夕飯用は午前中に、昼食用は起きてすぐ、朝食用は前日寝る前に
あとは、とパンのありかや使ってはいけない調味料の説明。お茶のペットボトルは玄関横のダンボールに
洗濯の仕方もファイルに。とサクサク説明していき、質問は?と振り返れば
わからなかったらメールします。と長次くんに言われた

「いつから出張へ行かれるので」
「仙蔵くん、言葉。」
「!出張は、いつから行くんだ?」
「月曜朝移動。なに、寂しい?」

にやっと笑えば、ほんのり頬を赤くさせた仙蔵くんが、平気だ。と逃げた

「逃げたね。」
「・・・そうですね。」

私も寂しいです。とぼそっと言って仙蔵くんを追いかけた長次くん。肌色濃くてわかりづらいけど、赤かった

「・・・やられた。」

その場にうずくまった私は、にやけそうになるのをなんとかこらえる

「子供、可愛いかもしれない・・・」


いや、気の迷い気の迷い。


目下目標は、仙蔵くんの服従姿勢の解除だ
なんだか凄く、居心地悪いのよね・・・

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