35 デ、レてはいないと思うの

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「・・・・・・そっ、か。」

うん、何を言えばいいのかわからない
人格破綻者2人に3歳まで、だから3ヶ月ほどか?育て・・・
育て?られて、

「思い出しただけで、このザマだ。」

と。どこか自嘲気味に笑った仙蔵くんは、繋いでない方の手を強く握り、白い顔を更に青白くさせ
伊作くんは、涙を袖で一所懸命拭いながら、ガタガタと震える

「・・・それで、気付いたら拘束されてデカいバッグの中にいた。んだよね?」
「話したのか?」
「わ!?小平太くん、」

道の端に寄って2人の話を聞いていたから、必然的にテンション高い4人を追っていなかった
ついてこないのに気づいたのか、その4人が戻ってきて、尚且つ小平太くんに飛びつかれ、しゃがんでいたため不安定だったせいか、尻餅をつくことに

「伊作。お前が話す必要はなかったんだぞ?」
「うん、でも、僕が直接話したかったんだ。」
「わたしだって自分で話したかった!」
「小平太は・・・ダメだ。」
「お前は脱線するだろ。」

「***殿。」

殿?

どうしたの?と仙蔵くんをみれば、同情をしてほしいのではありません。と見つめられ
血の滲んだ手を開き、ありがとうございました。と頭を下げた

「、なにが?」
「話を、聞きたくはなかったでしょうから。」

お察しの通り。あまり他人の過去に興味はないし、内容が重いのは想像にかたかったし
ただ、この子らが話すことで楽になるなら、まぁ、同居のよしみで聞いてもいいかなと思ったりはした

「感謝しています。衣住食足りる生活は、***殿一人が築いておられるものだ。感謝という言葉では表しきれぬほどに・・・必ず、このご恩お返しいたします。」

・・・・・・っ、いらない、なんか、仙蔵くんにそう言われると大それたことをしてる気分になっていくるけど
私自身生活スタイルの微調整はあれど、以前と変わらないんだよ
だから、そんな意気込まなくていい

「あのね、仙蔵く」
「私たちが本来在った場所に戻るまで、骨身を惜しみ尽くします。」

こ、これはっ、
周りの視線が気にするしないの次元じゃない
気の利いた人がいたら通報される!

「ちょっと落ち着こうか仙蔵くん、」
「これ以上ないほどに冷静ですが。」

どこが?ねぇどの辺が?
私凄く注目浴びてるけど、わかってる?

「別に見返りがほしいわけじゃ」
「本日も、小平太の我が儘に付き合って頂いています。」

最後まで聞いてほしい。お願い

「仙蔵。その辺にせんと***さんが困っている。」
「!これは、失礼いたしました。」

文次郎くんよくやった
そして仙蔵くん。君主に付き従うがごとく恭しくするのやめて

「・・・とりあえず、原っぱでお弁当食べようか。」
「お持ちいたします。」
「結構です。仙蔵くんは皆が迷子にならないようにしてて。」

承知いたしました。と突っ走っていく小平太くんを追いかける仙蔵くんを見送って
隣にいた伊作くんと文次郎くんに、仙蔵くんは熱でもあるのかと問いかければ

「仙蔵はきっと、***さんが大好きなんですよ。」

といらないことを知らされた


つまりだ、あれはデレなわけだね?

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