34 前の保護者 *

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六年生が非道い目にあってます
マトモなオリキャラは出てきません
夢主も出てきません


なんでも許せる方のみお進み下さい
苦情厳禁です








前の保護者は、夫婦でした
真面目な感じのご主人に、繊細な奥さん


普通に見えた。本当に、普通に、

完璧に隠された中身を知るまでは


子どもに恵まれなかった夫婦は、いや、奥さんは、最初は凄く可愛がってくれた

それが、一月の後、


ガシャン!とほ乳瓶が割れた
それを聞きつけた夫が、妻に近寄る
妻は子供らを指さし、戦慄いた

『あ、あなた、』

子ども達の半分が、よろよろと歩き回り
半分が、つかまり立ちでリモコンやティシュボックスを不思議そうに眺める


おかしい、オカシイ、さっきまでは、確かに、生後間もない赤子だったというのに



真面目というのは、つまり頑固で融通が利かないということ
繊細というのは、つまり神経質で心を病みやすいということ

『人間じゃないんだ、コイツらは!!』
『私の赤ちゃん、赤ちゃんはどこ、返して、返しなさい!!』

バチンと渇いた音ならまだよし

ジュワッと焼けるような音と臭いなら
バシャンゴボゴボと飛沫をあげたなら
ギチッと軋み締め上げられたなら
ジュッと強く押し付けられたなら


・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・



『テメェのせいだろクソアマが!!こんなもん買いやがって!!!!』
『なんで私のせいなのよぉおおぉおおお!!!』


子供らは身を寄せ合い、目を忍んで生ゴミを漁り、浴槽にはられた水でも生きるため口にした


腹を下せば、熱をだせば、トイレに行かせてもらえず寒空にベランダに出され
飢えと寒さに幾度意識を飛ばしかけたことか



『イヤァアアアアッ!!!』

妻の叫び声も意に介さず。いや、拳で黙らせコトに及ぶ夫
非道い仕打ちを受けたのにも関わらず、茶髪の心優しき子供は妻を助けようとします

『じゃぁクソガキ、テメェが相手しろ。』


暗転。



『いさっくんに触るな!!』

仲間を助けたい一心。けれど、力に自信があっても、相手は成人男性
一蹴で返り討ち、後には目を覆いたくなる仕打ちが


暗転。



『もう、やめてください、おねがいします。』

土下座です。後頭部をガンと踏まれ、フローリングに擦り付けられても、黒髪の色白な子供は必死にお願いします


仲間が、日に日に見る影もなくなっていく
夜も寝付けないほどに魘され、気が向いたときにポイと渡されるお菓子一袋で繋ぐ命



お願いなんて、聞き入れてもらえません。





ご近所では有名なお家。
エリートさんな夫は、外での鬱憤を妻で晴らし
普通と評される妻は、病院と精神病院で入退院を繰り返す


日常的な暴力三昧じゃ、そりゃ子供もできても流れちゃう
ますます荒れて、ますます病んで





『っ、こ、へいた、そん、なっ、』

足がペッキリ折れてしまった子供に、泣きます
自分を庇って、痛みに強い子供が痛いと泣いている
だって、足だけじゃないんだもの。我慢なんてできません

『小平太の足が折れたんです!!手当を、手当をし』
『うるせぇなぁ・・・』

服を掴み懇願してきた元来無口な子供を突き放し、踏みつけ、上から花瓶を・・・

『私の花瓶が!!!』


そこじゃないじゃないですか、なんで助けてくれないんですか



今まで学んできた何もかもが、無意味
痛みなんて堪えられない、恐怖を押さえ込めない


『痛い、熱い、苦しい、お腹すいた、喉がいたい、焼けるように、心が、』




この世界にきて三回目の成長の翌日
この夫婦の前から子ども達は忽然と姿を消した

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