20 仕事は、最早天命

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さて、どうしよう。
今日は納期だ。朝一でサイン貰いにいかないといけない
一週間で早退と有給とをつかって、また有給?

「***さ、ん、」
「トイレ?」
「お仕事、行って下さい。」

僕大丈夫ですから。って言う伊作くん。どこがやねん。ってツッコミたい
まぁ、本人が大丈夫って言ってるのに大丈夫じゃないでしょ!なんて煩いだけだろうと
自分に置き換えて考え、何かあったらメールね。と出勤した


バタン。ガチャッと音がして、***さんは会社へ
すぐにい組と留さんが言い合いをはじめた

「折角親切にしてくれたのになんで突っかかるんだ!」
「演技かもしれんだろ!油断できるか!!」
「お前なぁ!!」
「まだ一週間しか過ぎていない。気を許すには早すぎる。」
「い組は頭固すぎんだよ!!***さんはちゃんと伊作を医者にみせに行ってくれたし薬だって買ってくれた!その事実をなんでみない!!」
「もーやめろって!!***はいさっくんを助けてくれた。それの何が問題なんだ?」

小平太の台詞で、静かになった

仙蔵と文次郎だって***さんが前の人たちとは違うってわかってはいるんだ
留さんだって、二人の気持ちはわかってる

なのに、なんで喧嘩になるんだろ?

「こっちの医療制度はね、凄く充実してるんだ。」

僕の言葉を聞いてくれるらしい
五人の目が集まった

「保健書と医療書が必要で、それがないと治療費が高額になるんだって。でもその二つはこっちで生まれた人なら皆もってるんだって。」

だから、僕たちにその二つはない

「治療費が高額になるのをわかってて、***さんは僕を病院に連れて行ってくれたんだ。そんな人が、前の人たちと同じなわけないよ。」
「・・・あと二十日と少しで、わかることだ。」


僕だって怖い。また、またあんなことになったら、今度こそ死んじゃう
精神的にも肉体的にも、特に小平太なんかは、運良くちゃんと治ったからよかったけど
次もそうなるとは限らないんだから

「留さん、」
「なんだ?」
「僕、***さんを信じてていいんだよね?」
「・・・そう、だな。」

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