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住んでる場所は、家賃の割に充実してる
スーパー、本屋、ドラッグストアはもちろん
チェーン店のスーツ店まである
この流れでいってお分かりでしょうか?そう、病院も近い
スーパーで普通の買い物に加え果物、うどん、ゼリーを買い
ドラッグストアで冷えピタや粉末スポーツドリンク、マスクやらを買う
足りなかったらネットスーパーにお世話になればいい
「ただいま!伊作くん生きてる?」
ガサガサと冷蔵庫に買ったものを詰め、寝室で苦しそうに布団に埋まってる伊作くんをバスタオルでくるむように拾い上げた
「一応換気して、手洗いうがいのあとマスクして。マスクは私がしてる風に。箱にも書いてあるからよく読んで。」
「***さん、」
「また何かあったらメールして。」
「***さん!」
「何。」
伊作くんを縦に抱きかかえたままカバンをひっつかみ靴を履く私を、留三郎くんが慌てた様子で引き止めた
「伊作をっ、どこへ」
「病院。他に質問は?」
「びょう、」
なさそうだから行くよ。と外へでて、鍵を閉めた
保険証のない伊作くんの請求額は10割請求だ
点滴に薬に診察料にとなんだかんだ加算されて、改めて病院ってお金かかると実感する
点滴と、薬投与は助かった
「ゔ〜・・・」
「吐きそう?」
「らいひょうぶです・・・」
鼻鼻。鼻が出てるよ伊作くん
セレブリティなティッシュを追加購入して、帰宅
子供らが来てから使ってなかったベッドにコロコロかけて、伊作くんを寝かせる
アイス○ンを枕代わりに、冷えピタ、吐いた時用のビニール張ったゴミ箱とティッシュを枕元に
濃いめに作ったスポーツドリンクをストローつきボトルにつめ、帰ったら塗れといわれていた薬を伊作くんを転がしながら塗りまくる
「よし。定期的に様子見にくるから、大人しく寝てること。」
「はい、」
「痒くても掻いちゃダメ。跡になるからね?」
「はい。」
「辛かったら、辛いということ。」
「・・・でも、」
我が儘は、嫌いだって・・・と布団に隠れようとするのを引き止めて、言い聞かせる
「病気のときに辛いというのは、我が儘じゃない。我慢しなきゃ、迷惑かけちゃダメだと思うほうが嫌いだよ。病人は病人らしくしな。」
水疱に触れないように頭を撫で、おやすみ。といえば
おやすみなさい。と微笑みが返された
「ありがとう、ございます。」
戸を閉め、手洗いをしたあと
夕飯を作ろうと炊飯器を取り出し米を計る
じゃっと米を洗っていると、ひょこりと留三郎くんがキッチンへやってきた
どうかしたのか尋ねれば、伊作は、と不安そうな顔が向けられる
「水疱瘡。薬処方してもらったし、よくなるよ。」
「・・・ありがとうございました。」
「どういたしまして。・・・なにが?」
炊飯セット完了
「薬、くれて。」
「そりゃ病院行ったんだもの。」
「なんで病院に連れて行ったんだ。」
増えた。と顔を向ければ、留三郎くんの隣に文次郎くんが増えていて
近づいてきた文次郎くんは、なぜか怒ってる
「市販の薬じゃ対応できなかったから。」
「俺たちが煩わしいんじゃないのか。」
3歳児が煩わしいとか使うのか、私はオール平仮名だったろうな
などとくだらないことを考えてみたり
「煩わしいなら、見捨てればよかったんだ・・・優しくしておいてっ、」
「優しくしてるつもりはないよ。子供は苦手だもの。ただ、病人は子供にカテゴライズされてない・・・私はね。だから優しくみえたかもね。」
「っ、俺たちは二度とお前らを信用しないと決めたんだ!!」
「は、」
「最初はそうだ、可愛い可愛いと愛でておいてっ!!成長すれば気味が悪いと」
「文次郎!!」
「仙蔵、」
「伊作は今弱ってる。思い出させるようなことを叫ぶな。***さん。今の話は忘れて下さい。」
すぃと頭を下げた仙蔵くんに、そうだね、忘れるよ。と笑顔をむけた
「伊作のことは、本当に助かりました。」
不本意だと、顔に書いてありますけどね、仙蔵くん