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「伊作っ!!!おい!!」
***が出勤したその午後、伊作の容態は一変した
一晩でこんなにやつれるのかと思うほどに肌が乾燥し、荒れ
胃液すら満足にでなくなっただけではなく、水分もとれなくなっていた
とらない。ではなくとれない。
***がとっておいた伊作の朝食を前に
とうとう机に突っ伏すかたちでたおれた
「と、めさ、」
触らないで、とカサカサの唇が動く
ふらふらと留三郎から離れた伊作が、ここ二日、決して脱がなかったパジャマを脱ぎ
顔を隠すようにしていた髪をかきあげた
「ごめん、黙ってて・・・」
「それ、な、水疱じゃないか!!」
「いさっくんかかったことなかったのか?」
「あるはずなのに、なっちゃって、ごめん、黙ってて、ごめ、ん、」
顔にまでできちゃって、と涙目で謝罪を口にする伊作は、僕出て行く。とふらふらしながらもパジャマを着直し、自分の色のバッグへ歩く
それを留三郎が腕をつかんで止め、長次がメールをうつ
仙蔵と文次郎は、長次を止めはしないが、いい顔もしない
小平太は鍋を探しだし、炊飯器をあけた
「何をするつもりだ、小平太。」
「粥を作る!」
「バカタレ。火事の危険性があるからコンロは使うなと言われただろ。火事になったら、誰が伊作を連れて逃げる。」
俺たちは子供だ。と腕を組む文次郎に、小平太は何かしたいんだとふいた
ポケットで携帯が震えていたが、メーカー問い合わせ中のためすぐに見ることが出来ず
15時のプチ休憩でメールを確認し
思わず隣でチョ○ボールを口に流し込んでいる先輩に、水疱瘡って市販の薬ありましたっけ?と呟いた
「・・・ないんじゃないか?なんだ、なったのか?」
うつすなよーと2箱目。今度はホワイトチョコ.verを流し込みはじめた先輩に礼をいい
早退手続きをして上司に声をかけた
「早退か?珍しいな。」
「預かってる子供が水疱瘡らしいので。」
「・・・子供?」
はい。とメールをみせると、いくつだ?と聞かれ
素直に3歳です。と答えた
「・・・3歳が家にいるのに残業三昧か。」
「まぁ、はい。」
許可する。と承認を得られたので、パソコンをシャットダウンして帰りを急いだ
上司は多分子守を雇ってると思っているだろうが、そうではない
それを察しながらも、***は特に訂正をいれなかった