12 気付いて帰宅

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「明日、出社できるか?」

明日?と卓上カレンダーをみて、頷く

「できます。」
「午前中で終わるとは思うんだが・・・まぁ、申請は一日でしといてくれ。」
「わかりました。」

カチッと申請をすれば、デスクに戻った上司がすぐ承認し、部長の承認もすぐに得られた
皆仕事好きだな。と誰一人として帰っていないチームをみて、自分もか。と苦笑する
キリのいいところまで。と何だかんだやって、モニターの時計は既に22時を30分も過ぎていたが

集中してしまえば喉も渇かなければお腹も空かない

「・・・・・・?」

何かが引っかかる。なんだ?と首を傾げるが、この時間まで食べないのは珍しくない
今日は具沢山の餡掛けうどんの予定だからそこまで大変じゃないし・・・

「・・・・・・あ。」

時計を見て、携帯をみる。を数度繰り返し、家にいる六人を思い出した
けれど、モニターには打ちかけの仕様書がある

「・・・。成長ホルモンごめんなさい。」

謝る対象が明らかに違うのだが、気にはしてられない
できるだけ早く終わらせて帰ろうと、カタタタと再開した


それから30分ほどで区切りをつけ、お疲れ様でした!と頭を下げ急いだ

途中スーパーで5玉1パックのうどんを2つとエビ野菜かき揚げを3つ購入
お茶のペットボトルも忘れずに、出来る限り急いで帰宅

「ただいま、遅くなうわっ!!」

イヤホンを外しながら静かなリビングにむかい声を掛ければ、バン!と勢いよくドアがあけられ
荷物をおろしたところを襲撃された

「あの、あがれないんだけど。」

ひしっとしがみついてくる小平太くんを抱き上げると、今にも泣き出しそうな潤んだ目とかちあう
どうしたの?お腹すいた?今作るね。とそのまま、買い物袋を持ってリビングへ
ソファーにおろそうとしても離れない小平太くんをキッチンまで運び
足元にいていいから降りて。とおろし、手洗いうがいをその場でして夕食作りへはいった

「・・・いつもこの時間か?」
「今日は特に遅かったけど、大体いつも9時ごろだね。」
「・・・・・・そうか。」

不機嫌だな、やっぱりお腹すいたんだなぁとごめんね。と小平太くんの頭を撫でる
ちらりと見上げてきた小平太くんは、頭をグリグリと脚に押しつけてくるが
それは甘んじて受け入れようと放置

「遅かったな。」
「うん、ごめんね。」

冷蔵庫にもたれかかりながら言ってくる仙蔵くんに謝罪を口にすれば、特に反応を返すことなく行ってしまう
なんだ?とおもいつつ、それに気を取られるくらいなら明日の予定を頭の中でたてていたい

「***はいつが休みなんだ?」
「明後日は多分休み。明日は仕事。」
「忙しいのか?」

まぁね。と頷き、いい子にしてた?と鍋に具を入れながら尋ねると
してた。ほめろ。としがみつく力が増した

「偉い偉い。」
「・・・・・・なぁ、」
「んー?」

ていうか小平太くんの相手しかしてないや、とリビングを見れば
ソファーで体育座りをしている伊作くんと目があった
目があったまま、伊作くんがそばまでよってきて、裾をひかれる

伊作くんは服を引っ張るのが癖なの?

「ちょっと待ってね伊作くん。小平太くん、」

言いかけたままだった小平太くんに顔を向けても、小平太くんは床を見たまま

「・・・小平太く」
「なんでもない。」
「・・・そ。伊作くん、どうしたの?」
「無理は、しないで下さい。」

それは仕事のことか家事のことか・・・両方か
まぁ厳しいなと思ったら代行を雇うから平気だと頭を撫でれば
え、と不安そうな顔で見られた

・・・え、って、なに。

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