09 諸注意

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仙蔵くんちょっと。と食休み中の仙蔵くんをパソコンの前に呼べば、なぜか六人が集まってくる
いや、仙蔵くんだけでいいんだけど。と苦笑するが、問題があるわけじゃないので追い払ったりはしない

「なんだ。」
「君ら用のアカウント。メアドもフリーだけど取得したから、私が仕事行ってる間問題があったらメールして。」

使い方はこれ。とプリンターからだした紙を渡す
それを軽く読み、わかった。と頷いた仙蔵くんに、スリープモードになった場合やフリーズしたときの対処をプリントした紙も渡しておく
他にも、テレビの使い方や時計の見方(3歳じゃわからないものなのかな?)、寒かったとき用にエアコンの説明、留守番中の諸注意をプリントして、さっき発掘したクリアファイルに全部挟んだ

「家の外には出ないでね。書いてはあるけど。」
「・・・なぜ私に言う。」
「一番統率力のある子に任せれば安心だから。」

そうか。と短く答えた仙蔵くんは、文次郎くんと一緒に紙を一枚一枚読み始める
その間に、休日のモールへの行き方や必要性のある品物リストの作成を済ませた

「目が悪いのか?」
「・・・え?」

集中してると周りが見えなくなる欠点を発揮していたようで、留三郎くんに聞き返せば
眼鏡してるから、目が悪いのかと。と伊作くんが気にしてる。と言われ
パソコン用に特殊なレンズのを買っただけで、目は悪くないよ。とほら。と眼鏡をみせた

「・・・目は悪くないのに、するのか。」
「かけないとね、長時間パソコンやってると目が痛くなるの。」
「そうか。だとよ、伊作。」
「そ、そっか、」
「子供って眼鏡とか好きだもんね。」

妹がよく母の眼鏡を歪ませてたのを思い出し、かけてみる?と差し出す

「っやだ!!」

ぱしんと手が叩かれ、眼鏡が落ちそうになった
おっと。と持ち直し、プリンターの上に置く

「ご、めんなさっ、」
「大丈夫、あれくらいじゃ壊れないから。」

かけさせようとしてごめんね。と謝れば、泣きそうな伊作くんは留三郎くんの後ろに隠れてしまった
あら?と留三郎くんをみると、こっちをみていた留三郎くんと目があう
すいません。と軽く頭を下げた留三郎くんに気にしないで。と首をふった

「***さん、」

パソコンをおとし立ち上がれば、タブレットを持った長次くんが続きを読みたいのだと頭を下げる
ついでだとタブレットの使い方を教え、暇そうにしている小平太くんには漫画を貸すために
本棚のある隣の部屋へ向かう

少年漫画なんて2タイトルあったかなくらいだけど。

「・・・それ、読んでもいいか?」
「・・・どれ。」

これ。とよくわかる化学式的な漫画を取り出した仙蔵くん
いいよ。と手渡せば、文次郎くんが俺はこれ。と近辺のジョギングマップのついた本を指差す
選択が子供じゃないよと思いながら手渡すと、文次郎くんの後ろにいつの間にか留三郎くんがいて
俺はそれが読みたい!と製図の本を指差した

「あと、そこにある保健っていう本がいい。」

どれ。と指差されたほうをみて、高校の時の保健の教科書を取り出す

こんなの読んでどうするのか。というか、こんなのとっておいてる私はなんだと

ご所望の本を与え、漫画数冊と自動車学校の教科書を持ちリビングに戻る
小平太くんに漫画を渡し、どうせ使わないのだからと自動車学校の教科書に赤ペンと付箋紙を駆使して横断歩道や信号の見方をピックアップしていき

しばらくして伸びをすれば、背中に小平太くんがへばりついていた

「・・・お腹空いた?」
「いや。」
「・・・」

何時だ?と時計を見て、ご飯炊く時間かと小平太くんをどかし立ち上がる
教科書をひとまとめにし、ペンを筆箱へ
バッグに筆箱と会社の服を詰め、玄関に置いて、米とぎに移る

「・・・明日朝ホットケーキにして、昼はおにぎりとおかずを用意して・・・麦茶は2lあればいいか。」

買ってきたペットボトルは最初あけておけばいいだろう
踏み台はないので、全部手の届く高さに置いておかないといけないが

世のお母様方お疲れ様です。と、実家にいる母親を思い出した

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