隣で伊賀が寝てる。穏やかに眠る姿はまるで死んでいるようで、僕は夜中何度も伊賀が息をしていることを確認しては安堵し眠る
伊賀の寝息を感じるくらい近くに寄って、時々我慢出来ずに口づけた。寝てる伊賀は食べてしまいたいくらいに愛らしくて、寝てるせいで応えられず息のあがる姿は僕を高ぶらせる

「伊賀っ、」

興味もなかった行為に更けさせるのは、伊賀が好きすぎるから。伊賀の匂いが僕を興奮させて、流石に起きる伊賀はいつも一瞬驚いてから優しく笑ってくれた
疼いて仕方ない僕の身体は伊賀を求めて、出したばかりの欲がむくむくと膨れ上がる

「伊賀、伊賀・・・大好き。好き、僕の伊賀。もっと沢山僕を愛して。」

伊賀の目は僕だけを見るために伊賀の耳は僕の声をきくためだけに伊賀の口は僕を呼ぶためだけに伊賀の手は僕に触れるためだけに伊賀の腕は僕だけを抱きしめるためにあるのだから、僕の目は伊賀だけを見るために僕の耳は伊賀の声をきくためだけに僕の口は伊賀を呼ぶためだけに僕の手は伊賀に触れるためだけに僕の腕は伊賀を抱きしめるためだけにある。伊賀と僕は生まれる前から一緒に生きることを定められた、運命なんだから

「伊賀っ、伊賀っ・・・!」
「伊作・・・っ、」
「ちょうだいっ、伊賀の全部っ、ぼ、くのっ、」

伊賀が欲しい。それ以上に僕を欲してほしい。僕はもう伊賀なしでは生きていけないんだから、伊賀にも僕なしでは生きていけなくなってほしい。贅沢すぎる想いだけど、他は何もいらない本当にただ一人が欲しいだけと考えるなら男女間ではよく叶う願い
なら、僕だって叶っていいじゃない。僕が男だからいけないの?だってじゃなかったら同じじゃないから嫌だ

伊賀が欲しい伊賀が欲しいだけなんだ伊賀の視界を独り占めしたい

「伊賀、ここから出ないで・・・?」
「・・・この体勢のまま?」
「意地悪!」
「ふふっ、ごめんごめん。ただ厠も湯浴みも外だなって思って。」
「僕が人気のないときに連れてくよ、ちゃんと。」

伊賀の部屋だけで過ごして。卒業したら一緒に善法寺に帰って、二部屋くらい伊賀専用にして、誰も近づけさせないでおこう。そうしたら、二度と伊賀がいなくなるなんて間違いは起きないから

「いいでしょ?伊賀。」
「でも僕は大川の家の子なんでしょ?なら、まずいんじゃないかな。」
「確かに・・・うーん・・・」

学園長が伊賀を簡単に手放すとは思えない。なら簡単にはいかないか。最初に伊賀を助けてくれたのは学園長だし、上手くいかない
悩む僕の額に、伊賀が優しく口づけた。大丈夫だよと笑いながら、まるで僕を肯定してくれるように

そう、肯定してくれる。だって伊賀だから。伊賀は僕と同じなんだから

「伊賀、僕、伊賀だけいればいいから。」
「・・・僕も、伊作がいれば他にいらないよ。」



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