兄様がいない兄様がいない兄様がいない兄様がいない兄様がいない兄様がいない兄様がいない兄様がいない兄様がいないどうして兄様がいないの僕の兄様はどこ兄様の声が聞きたい兄様と触れ合いたい兄様兄様兄様
「・・・おはよう、兄様。」
「おはよう伊作。よく寝れた?よく寝れるように香を焚きはしたんだけど、効いたかな?」
「効いたよ、とっても。でも、変な夢をみたから、夢見は悪かったかもしれない。」
「どんな夢をみたの?」
「兄様が・・・僕から離れていく、夢。」
「それは悪夢だね・・・僕も伊作と離れたくないから。」
カタカタと動く髑髏は兄様のもの。だから、話しかけてくれて答えてくれるのは全部兄様。兄様、僕の、兄様
「だから、ごめんね。」
大好きな、兄様
「伊作、大好きだよ。」
「僕も、兄様が・・・伊賀が大好きだよ。掛け替えのない、唯一だ。」
兄様を困らせたくなくて、戸惑わせたくなくて言えなかった想い。言ってたら、きっと兄様は受け入れてくれた。なんで言わなかったんだろう
「伊賀、好き、好きなんだ、こんなにも想ってるのに、いなくなるなんてひどいじゃないか。」
喋らなくなった髑髏。僕はそっと箱にしまって部屋から出ると、苦無を握ったままあの女の部屋に向かう
ふらりと部屋へ入った僕はそこにあったニオイが消えていることに首を傾げ、背後に感じた気配にゆっくり振り返った
「乱太郎・・・どういう、こと?」
「僕たちが天女様を始末しました。」
さらりと告げられた事実であろう話に伏いて、僕は行き場のなくなった怒りのまま乱太郎を睨む。乱太郎は怒らないでくださいと前おいて、僕たちには天女様が限界だったと頭を下げた
「先輩方は僕たちじゃ届かない。大川先輩を手に掛けた先輩方を、お願いします。」
「・・・切り刻ませて。」
僕に切り刻ませて。顔をあげた乱太郎は埋めちゃいましたと裏山を指差す。僕は具体的な場所を聞いてありがとうと乱太郎の頭を撫でた。よく、あの女のことだってわかったよね
僕は裏山で擬態しながらも新しく感じられる地面に降り、土を掘る。ザクザクと苦無が土を返し、掘っていた身体が埋まるくらい進めば気色の悪い女の形相が姿を現した
「まるで怪異にでもあったようだね。」
この女が現れなければ僕と伊賀の平穏は脅かされなかった。この女に拐かされなければ、誰も伊賀を殺せるはずがなかった。この女が憎い友だと思っていたみんなが憎い
「伊賀と僕を引き離した誰もが恨めしい・・・」
躊躇わず四肢をバラし胴体と頭部を離し部品分けをした僕は、それらを麻袋へ一つずつ入れて持ち上げる
「でも、最愛だった人と離されるのは辛いよね。」
だからまず、与えないと。この女が大好きだった人たちに平等に与えないと。そこから、始めないと
弔い合戦?ううんこれは、ただの復讐だよ