ある少女の両親は、少女が小学校に上がるのを気に離別。どちらも親権を欲しがらず田舎の祖父母に預けられた
今までちょっとあるけばスーパーやコンビニがある場所から車でようやくしょぼい商店がある田舎へと連れて行かれ、馴染めず友達もできずに中学校に上がった頃に祖父母が相次いでそこにも居場所がなくなった
もしかしたら両親のどちらかがおいでと言ってくれるかもと淡い期待を抱いたのも会って数分で打ち砕かれ、手頃なアパートに一人投げ込まれ没交渉
高校には形だけ行き居酒屋で働き友達も恋人もできない白黒の生活に、接客した客の一組がきっかけでネット上でまさに夢物語が繰り広げられる世界をしった
愛に飢え現実に嫌気がさしていた少女はのめり込み、そして願うようになるまでに時間はかからない
いつしかパソコンの前で爪を噛みながら理想の自分とそれを取り巻くイケメンたちに想いを馳せ、現実を憎むように

「仙様とデートしたい、小平太に守ってほしい、三郎と雷蔵で私を取り合ってくれないかな、ピンチのときに俺が守ってやるからとか、カッコ良くはちが助けに来てくれちゃったりして。」

ああいいなぁ、行きたいなぁ、そっちが現実ならいいのに、なんでこっちが現実なのよ。そう血走った目で正気ではない様子のまま、少女はテキストにカタカタカタカタと設定を書き連ねた

「天女じゃだめよ、排除されちゃうかも。傍観主?嫌よなら天女が別にいて、そっちが最初チヤホヤ?いやいや!でも私男にはなりたくないし、だって男同士はちょっと・・・そうよ、男装主で六年生、愛されがいい!みんなみんな私が大好きで、私もみんなが好きだから、それが幸せ。」

いいなぁとうっとり。いつの間にかパソコンの前で寝てしまった少女は、翌朝には忽然と姿を消していた