000 輪廻転生
前世の記憶を持って生まれました!
と、いうのなら「そっか、よかったね。」と生暖かく見守るよ。でもね、前世は前世でも、未来の前世なの
意味わからない?私だとて理解しきっているわけではありません

私は平成の世に生を受け、裕福でも貧しくもない家で、普通の女児として平和に育ち、友達も彼氏もいて、順風満帆に人生を謳歌したてたの。うん、ちょっと言い過ぎかな。でも、満足してたのは確かで、本当に一般的な大学生だったあの時、私は事故で死んだ


死んだんです。


輪廻転生


ならば、平成かまたはそれよりもっと未来に生まれ変わるはずですよね?
なのに、私は室町時代に生を受けたのです

わかりました?
私はわかりたくありませんから、わからないと言い張ります。だって本当に、意味がわからない。


「私」はちょっとばかり裕福な家の嫡男として生まれ、3つの時に両親を亡くした
故郷は焼かれ、「私」を含む数人の子供が生き残り、そして、捕まり売られた
人身売買がこの身に降りかかるなんて思ってもみなかった私は、「私」の人生つまらない変態親父にでも買われて壊されるんだって絶望してた。まだ三歳になったばかりの「私」は、私と合わせたって二十そこら。流石に、辛過ぎる


「・・・?君、綺麗な顔してるね。」

くっと軽く首を傾げて、私をまじまじと見つめる大男。いたたまれなくなって顔を逸らせば、小さな笑い声が耳に届いてこそばゆい
私は大男にみられているせいで背筋が伸び、この人は私を買うのか?この人は私でどう遊ぶのかと過ぎる不安を見ない振りをする
売ってる奴に何かいって大男からお金が支払われるのを確かに見た私は、檻があいたことに驚き檻に繋がれたままの縄が引っ張られたのにあわせて久しぶりの手の自由にこの人が「私」を買ったのかと大男を見上げた

「おいで。」

私は拘束を解かれ、今度は私が片手を差し出した男の人をまじまじとみる番だ
大男は不思議そうに首を傾げ、長い髪を鬱陶しげに後ろにはらう

「どうしたの?」
「わたしを、かったの?」
「うん。」
「わたしまだ3つだから、なるべくやさしくしてほしい。」
「・・・・・・ああ。君、本当に3歳?」
「うん。「わたし」はね。」
「・・・おいで。」

未だ慣れない小さな手で差し出された手を掴めば、かたくゴツゴツした大きな手で引っ張り上げられて
軽々と腕に乗せられ片手で抱っこされる
高さが怖くてギュッと服を掴めば、また笑われた

「名前は?」
「*****。おじさんは?」
「雑渡昆奈門だよ。」
「・・・おもしろいなまえ。」
「そう?」
「うん。ねぇねぇざっとさん。」
「なんだい?」
「なんさい?」
「24だったと思うよ。」

私が死んだのは19で、胎児が10ヶ月に、今は3だから・・・

「だいたいおなじだね。」
「なにがだい?」
「ないしょ〜!」

どうせ言っても信じてもらえないし、言ったとしても子どもの戯れ言で終わらせられる年齢だから真面目にうけてはもらえない。私はあまり揺れないなぁなんてしがみついたまま、足元を見た
それにしても、この時代の人って私にしては皆背低い(175あったから、余計)。雑渡さんは背高いけれど、その分厚みもあるから普通カウントではないきがする
なんにせよ、「私」はこの人に買われたんだ

「けっこんしてないの?」
「してないね。相手はいるけど。」
「なのにかったの?」
「そう。なのに買っちゃったの。」

不思議だね。と首を傾げた大男に、私は確かに救われた。その事実だけで、私が大男に尽くす理由になる。奴隷といえば聞こえは悪いけど、まあそういうことなのだろうから


きっと堅気じゃない雑渡さんが、どうか優しい人でありますように