神様を殺した男

神様を殺した男


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女神像は無惨に打ち砕かれていた。
慈愛の指は欠け、予言の瞳はくり抜かれ、纏う純白の衣は罅だらけ。
人の行く道を照らすと言う漆黒のランプだけが、虚しく彼女の指で揺れていた。
男は王の剣を手に人々を見下ろす。



この災厄を見ろ。
奪われた尊さを、人々の尽力を思え。
これでもまだ足りないと、尚痛みを享受しろと言うのが、私達の崇めて来た神か?

……もう、分かっただろう。

偶像に縋る国は終わった。
恐れるな、神を壊したのは人間の手だ。


これは神の戦争ではない。
死ぬも人、戦うも人。
賽を投げた彼も確かに、人間だった。


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