- ナノ -


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 こっちこっち、と少女に誘われて竜は森の道を進む。木の根や、植物に足を取られないよう、ゆっくりと。難儀しながら少女が立ち止まった場所に辿り着いた。木々と丈高く生えた草の間から、家々や高い建物が立ち並ぶ人の街を見下ろすことができた。
 ここなら見つからずに街の様子がわかるでしょ? 少女は得意そうに、にっ、と笑った。


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