- ナノ -


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 それが竜乗りを習得した理由なのか、と竜はやや呆れたように言った。だって見たかったんだもん、鯨。背中の上の彼女は大いに胸を躍らせながら笑う。鯨なら船に乗って見たらいいではないか、との竜の言には、だって船じゃ壁に阻まれてる感じがするじゃない、遠いのよ、と大反論。とにもかくにも、目指すは海。鯨さんたち待っててね、と楽しそうな彼女を乗せて、竜は飛んでゆく。
 

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