- ナノ -


236

 同じ空の下にいるはずだった。そばにいて、一緒にこの抜けるような、気持ちのよい青空を見上げているはずだった。しかし彼女には、この青もまた、悲しみの色を湛えているように見えているのかもしれない。色は目で見ているだけではない。きっと心でも見ているのだ。竜は静かに彼女に寄り添った。光さす青が、彼女の心に一筋でも届くことを祈って。


[ ]