- ナノ -


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 その竜はただ、人の喜ぶ顔が見たかった。彼が力を込めれば、その手からは黄金が溢れる。それを人に渡しては、竜も喜んでいた。しかしその力は、彼の命を蝕むものだった。力を使い果たした竜が大地に静かに倒れ伏したとき、彼の生み出した黄金は一瞬にして涙のように透明になった。そして風に溶けて消えてしまった。


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