- ナノ -


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 雪ってさ、危なくもあるんだけど、と彼は言った。どうしてもきらいにはなれないんだよなあ。暖炉の側でまるくなっていた竜は、片目を開けて彼の方をちらと見る。こうやって静かに降る雪を見ていると、落ち着くっていうか、なんだかあったかい気持ちになるっていうか。君もそう思わないかい? 竜は窓の外に目を遣った。白い雪が冬の夢を見るように地上に舞い降りていた。


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