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- ナノ -


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 もし人間だったら何がしたい、と青年は竜に聞いた。人の食べ物を片っ端から食べたい、と竜はこたえた。青年がやさしくかき混ぜる鍋からは、まろやかなシチューの香りがただよってくる。人間の食べ物は、その、案外悪くないからな。竜は宙に視線をさまよわせながら、もそもそとつけ加えた。
 人間も、案外悪くないもんだよ。ふふ、と青年は笑う。そうだな、と、竜は言った。


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