- ナノ -


977
   
 人里離れた山奥に小さな家を建て、かつて英雄であった男はひとり静かに暮らしていた。こんなところでまた会うとはな、と竜。あまりにも平和で、あんなことなんて何ひとつ起こらなかったんじゃないか、って気がしてくるよ。肩を竦めて男は言い──でも、なかったことにはならないよな、と呟いた。
 竜は頷く。消えはしないのだ、と。


[