- ナノ -


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 どうってことない土のなかにも、芽吹きを待ってる植物の種が途方もない数眠ってるらしいね。彼女はしゃがんで、足元の土を見ながらそう言った。虫や一部の竜などもだ、と竜が付け加える。竜までもかあ、と彼女は少し驚きつつ、遠くまで続く土の大地を眺めた。
 私たちは命の上を歩いてるんだね。彼女の呟きが、風に乗って土を撫でていく。


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