- ナノ -


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 本当は鳥みたいに、体の下に抱えて温められたらいいんだけどね、とその翼竜は言った。私たちの体は大きくて重いし、潰してしまっては大変だもの。
 腕の中に大切に卵を抱き、その上から片方の翼を被せて横向きにまるまった翼竜は、幸せそうな顔をしていた。親と子、共に健やかであることを祈って、旅の竜は空に帰った。


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