- ナノ -


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 たぶん夢を見ているのだろう。その夢の中でも、彼女は庭に置いた小さな椅子に腰掛け、うとうとしていた。そこに、空から竜がやってきて、彼女に寄り添うように眠り始めたのである。
 何故かはわからないが、ほっと落ち着く心地がする。それで夢の中でもすやすやと彼女は眠った。ふと目が覚め、竜がいないことに気付くと、彼女はちょっぴり寂しくなった。なんとなく見上げた空を、鳥ではない何か大きなものが飛んでゆく──。


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