- ナノ -


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 午後のお茶の時間にね、紅茶を淹れていると、必ず窓から顔を覗かせる竜がいたのよ。紅茶の香りをくんくんとかいでいてね。一緒にいかがですか、って誘うと、それはそれは喜んでくれたのよ。
 竜って紅茶飲むの? と人の子が母に聞く。母はふふ、と笑って、飲む竜もいるのよ、と答えた。


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