- ナノ -


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 その龍の鱗はところどころが剥げてしまっていた。思わず竜が声をかけると、龍は言った。なんだか気持ちが晴れなくてね、つい鱗を毟っちゃうんだ。痛いけど……やめられなくて。
 次にかける言葉を、竜はすぐに見つけられない。そんな竜に、悪いことばかりじゃないんだ。ぼくの鱗、人にあげるとみんな喜んでくれるし、と言って、龍は僅かに笑んでみせた。


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