- ナノ -


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 竜になって君と一緒に飛ぶ夢を見たよ、と少年は嬉しそうに言った。やはり竜になりたいと思うか、と竜が少年に尋ねる。少年は少し考えた後、こう答えた。夢のなかだからいいのかも。いまはいまで気に入ってるし、竜な自分は……どこか別の、並行世界の自分に任せるよ。
 もしかしたらその世界のわたしは人間かもしれないな、と竜。えぇ、一緒に飛ばないの、と少年は笑った。


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