- ナノ -


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 たまに怖くなるんだよ、と彼は言った。君たち竜と暮らすこの毎日の方は夢で、本当は、竜なんていない現実の世界に暮らしているんじゃないかって。
 心配するな、というように竜は頷いた。彼もまた、竜に頷き返す。この先も僕たち、ずっと一緒にいられるよね……。山の向こうに沈んでいく夕日を見ながら、彼は小さく、そう呟いた。


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