- ナノ -
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竜になって飛んだら、この村はどんなふうに見えるんだろう。空はどんなふうに感じられるんだろう。それを思い浮かべるの、好きなんだ。少年は微笑んでそう言った。竜乗りを練習して、空を飛んでみるか? と竜。少年は首を振った。ううん。想像するのが楽しいんだ。それに、竜に乗れたとしても、竜にはなれないよ。
少年は青空を吸い込むように深呼吸をした。彼の想像の翼は、誰にも手折られない。
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