- ナノ -


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 海のだだっ広い青が続いているだけだった。昔、ここに島があったと思ったのは記憶違いだったのだろうか。竜が辺りを見回していると、海から顔をのぞかせた者がいる。首長竜だった。
 彼の言うには、島は少しずつ海に飲み込まれて沈んでしまったのだという。島のことを覚えてくれててうれしい、と首長竜は微笑んだ。


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