- ナノ -


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 やや地面が盛り上がっている場所があり、そこに色とりどりの、様々な形の花が群生していた。その美しいながらも少し不自然な花々に顔を近づけた竜は、思わず息を呑む。鱗だ。一枚一枚の鱗が変形して、花になっている。
 盛り上がりの端の方がぴくりと動いた。ほぼ花に埋もれてしまっていたが、そこには瞳がのぞいていた。自分と同じ竜の目──竜がそう思ったとき、瞳が僅かに光を帯びた。笑ったように、見えた。


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