- ナノ -
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久方ぶりに姿を見せた彼は、幼子の手を引いた人と共にやってきた。少し照れくさそうな、しかし満ち足りた微笑みを浮かべる彼に、竜は目を細めて呟く。人間の命は駆け足だが、実に眩しい、と。
とりとめのない話を幾つかする。竜が彼に語ったことは本となり、少しずつ人々に読まれているらしいことを、竜は知った。
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